1NLDKとわたし by KIKI
#1 MODEL KIKI

1NLDKで過ごす時間はいったいどういうものか?を個人の視点で解釈し、表現していく連載企画「1NLDKとわたし」。
#1 MODEL KIKI
Q1:今回の撮影において、どのような点をこだわり、意識しましたか?
特別に意識したというよりも、ただその場に身を置いて、風景や空気と呼吸を合わせるように過ごしていました。そうすることで、動きもしぜんに生まれ、空間とひとつになれるような気がしました。

Q2:ホテルのコンセプトである「風景をデザインするホテル」について、KIKIさんはどのように受け止めましたか?
室内は必要なものだけが整えられていて、余計なものが目に入らず、開放的な大きな窓からはゆったりと流れる川が見える。そんな空間にいると、自然と自分の心と向き合う時間が生まれていました。風景を取り込む、というより、風景とともにある、そんな感覚でした。
Q3:カメラマンであるKIMIYUKIさんとの撮影はいかがでしたか?
KIMIYUKIさんは、わたしの動きを無理に作ることなく、そのままを受け止めてくれた気がします。風景の中にそっと溶け込むようにシャッターを切ってくれて、とてもリラックスして撮影に臨むことができました。完成した映像には、雨のしっとりとした空気感までもが写し込まれていて、驚きました。
Q4:今回撮影を行った「1NLDK AOSHIMA」でお気に入りの場所はどこですか?
部屋の窓辺です。大きな窓から見える、流れの穏やかな川と空の景色を、何度もただ眺めていました。その時間がとても贅沢でした。

Q5:自然と対話する中で感じたことがあればお聞かせください。
ひとりで宿泊するのは久しぶりだったのですが、自分の輪郭が静かに浮かび上がってくるような時間でした。夜、コンテナの天井を打つ雨音で目が覚めたのですが、それがどこかテントで寝ているときのような、自然に包まれている感覚で、心地よかった。家族と一緒なら、娘たちは窓の外に飛んでいた蝶を見つけて虫籠を持って飛び出していたかもしれませんし、夫は焚き火のそばでゆっくり過ごしていたかもしれません。そんな時間もまた素敵だっただろうなと思います。

Q6:1NLDK AOSHIMAは、リバーサイドでサウナを体 感できたり北欧家具をセレクトしていたりと、どこか北欧を感じさせる空間でもありますが、KIKIさんは北欧に行かれたことはありますか?
これまでに二度訪れたことがあります。自然と室内の境目があいまいで、屋内にいても外の気配を感じられる、そんな工夫が随所にありました。冬が長いからこその知恵かもしれません。その自然との距離感の近さは、1NLDKにも共通しているように思います。フィンランドの田舎で体験したサウナでは、からだが温まったあとにそのまま湖に飛び込んだのですが、あの瞬間の開放感は忘れられません。1NLDKのサウナと屋外の風呂との関係も、どこかそれに通じるものがありました。

Q7:KIKIさんがこれまで訪れた場所で印象に残っている「風景」を教えてください。
北欧の夏至のころ、太陽が沈まない「白夜」の時期に、友人たちとハイキングに出かけた夜のことが心に残っています。ちょうど真夜中、0時になった瞬間に山頂にたどり着いて、"Happy midnight sun!"と乾杯をしました。真夜中なのにほんのり明るく、空が静かに光をたたえているような、優しい時間。そのときの風景は、今でも忘れられません。
Q8:KIKIさんがホテルを選ぶ上で「ここだけは欠かせない」など、大事にされていることは何でしょうか?
窓から見える景色と、室内の余白です。そのふたつがあると、自分の呼吸が自然と整って、旅の時間が深くなっていくように感じています。
Q9:宮崎に来られるのは2回目とお聞きしましたが、楽しめましたか?
とても楽しめました。ひとりでゆっくりと過ごせた今回の滞在も素晴らしかったですが、もし家族と一緒だったら、また違った風景が見えただろうなと想像しています。娘たちと自然の中で遊んだり、夫と焚き火を囲んだり。そんな時間も、きっと豊かだと思います。
Q10:今後、モデルというお仕事を通してどのような表現を生み出していきたいですか?
与えられた役割にとどまらず、その場所の空気や時間と対話しながら、自分の身体を通して風景や余白を映し出していけたらと思っています。表現というよりも、そこにそっと在るような存在でありたいです。

